絵を描くのが苦しい時ってありますよね。
僕も若いころ絵が描けない時期がありました。
その期間はなんと10年です!
その当時は何を描いても全然楽しくありませんでした。
楽しくないどころか何を描いても全く気に入らず、そのうちに苦しくなってきてすぐにペンを置いて他のことをしてました。
子供の頃はそんなことはなかったんです。本当に夢中で描いていました。
描けばどんどん上手くなるし、友達はよく褒めてくれて、それで嬉しくなるからもっと描いて、、気がつけばクラスで1番絵が上手くなっていました。
一人きりで夢中で描いているとクラスメートの1人が覗き込んできて「うわあ、上手いなあ!」と言って褒めてくれて、「次はこのキャラ描いてよ」と頼まれて、それが嬉しくてまた描いて
気がつけば自分にとって絵は友達とのコミュニケーションツールになっていました。
絵を描くことで話が弾み、喜ばれて、褒められて、注目されて、また描いて
それが19歳のとき急に描けなくなりました。
きっかけは学校の講評会でした。
僕はその頃普通大学の芸術学科に通っていました。
一年生の授業で油絵を描くことになって、制作期間は2ヶ月ほどだったと思います。
2ヶ月頑張って描いて、昼休みにも頑張って描いて、自分なりに良く描けたなあと満足していました。なので内心講評会を楽しみにしていました。
講評会というのは、先生が学生の絵に対してアドバイスをしたりダメ出しをしたりする授業です。
ここでは順位もつけられました。
作品は全部で50点以上あって、
僕の作品は下から3番目でした。
「はい、では始めまーす」と先生が言って上位の作品から順に講評が始まりました。
他の人の作品が何を言われてたのかはなんとなく覚えてるんですが、
みんなすご過ぎて、ほとんどぼうっとしてたと思います。
自分との実力差をまざまざと感じました。
特にショックだったのが自分の作品は全くなんの講評もされなかったことです。
もちろん時間の都合上、全員の作品が講評されるわけではないんですが、全く何も言われないというのは2、3人だったと思います。
すごく恥ずかしくて、明らかに他の生徒と比べて自分の作品がだめなのも自覚していて、平気な顔をするのが精一杯でした。
それから少しずつ絵を描かなくなりました。
正確にいうと何を描いても気に入らない状態がずっと続いて、何か描いてもちゃんと完成させるということはありませんでした。
それぐらいで馬鹿みたいと思うかもしれませんが、その当時の自分にとってはものすごいショックだったんですよね。
それから10年間は何を描いても気に入りませんでした。
気に入らないのに描きたくなる。でも描くと気に入らない、
その繰り返しでした。
こういう話しをすると共感してくれる人も多く、どうやったら描くのが苦しくなくなるのか相談されることもあります。
その苦しさの正体はなんなのか
絵を描く技術が高くなってくると、同時に頭の中の完成図のイメージも高くなっていきます。
そのうち頭で想像したイメージに技術が追いつかなくなっていきます。
「なんで思うように描けないんだろう?」「なんで上手く表現できないんだろう?」
頭の中にあるイメージははっきりしていてこんなにキラキラ輝いているのに、それを現実の形にしようとすると上手くいかない。
その距離が遠くなればなるほど苦しさも増していきます。
大学で他の生徒の絵を見て僕の頭の中のイメージが一気に高くなったことで、できない自分に対して苦しさを感じるようになったんだと思います。
「もっと努力しないといけない!」と強烈に感じたんでしょうね。
あなたはどんな時に苦しいと感じますか?
そのタイミングやきっかけは人それぞれです。
先生や友達から何か言われたり、誰かの作品と比べるようになって、なんだか絵を描くのが楽しくなくなってくる。
そのうち自分の描く絵が、色が、線の一本一本が気に入らなくなる。
ペンを握るのも苦しくなる。
本当に辛いですよね。
こんなことで苦しんでいる自分が情けなくてまた辛くなる。
ですが、「描くのが苦しい」ということは「成長しようとしている」という証です。
描きながら苦しんでいる瞬間、あなたの目と手は必死になって頭の中のイメージを紙の上に表現しようとしています。
イメージと絵のどこがどう違うのか、どういう風に線を走らせればいいのか、どんな風に色を塗っていけばいいのかを必死になって探っています。
その時間は確かに苦しいものです。
ですがその苦しみも成長だと受け止めて練習を積み重ねていけば、必ず自分で納得ができる絵が描けるようになります。
納得できるものが描けるようになればまた絵が楽しく描けるようになります。
そうは言ってもやはり苦しい中描いていくのは大変だと思います。
次回からはそれを乗り越える具体的な方法を書いていきます。
ではでは。